目次
自閉スペクトラム症や注意欠如多動症などの発達障害について
発達障害には遺伝的な要因が強いということがわかっています。
それでも、全ての遺伝子で決定づけられているわけではなく、「遺伝子と環境要因との相互作用によって発達障害になる」とするのが現段階での考え方です。
最近では妊娠初期の母親の喫煙や農薬の曝露などが、胎児の細胞内で「DNAメチル化の異常」を引き起こし、それが発達障害のリスクを高めているのではないかと考えられています。
DNAの特定の位置に、メチル基という化学構造が付加されると、遺伝子のスイッチをオフにしたり、過剰に働きすぎたりして、成長や発達に不具合が生じやすくなるという説があります。
発達障害の発症リスクを高める因子とは?
自閉スペクトラム症(ASD)に関連する危険因子
- エビデンス十分:論文による説得力あり
母の高年齢、妊娠前または妊娠中の過体重、母のAID(非配偶者間人工授精)、妊娠高血圧症候群、アセトアミノフェン曝露、父の高年齢、抗うつ薬曝露 - エビデンス示唆:論文によって関連が強い
AID家族歴、分娩5分後のアプガースコアが7点未満、父の低年齢、母の糖尿病、聴覚障害 - エビデンス弱い:関連が弱いか、リスクがほとんどない
水銀曝露、チメロサール曝露、喫煙曝露、MMRワクチン曝露、サイトメガロ感染、新生児アシドーシス、新生児黄疸、生殖補助医療技術、二酸化窒素・オゾン・大気浮遊微粒子の曝露、低出生体重、葉酸サプリメント - エビデンス不足:知見が少なく判断が困難
抗てんかん薬曝露、アルコール曝露、乳児期の健康、両親の社会経済的地位、乳児期の栄養
注意欠如多動症(ADHD)に関連する危険因子
- エビデンス不足:知見がなく判断が困難
抗うつ薬曝露、低い社会経済的地位、乳児期の栄養、喫煙曝露、化学物質曝露、乳児期の健康、抗てんかん薬曝露、アルコール曝露、新生児黄疸、妊娠高血圧症候群
こうして見てみると危険因子と考えられている項目に、いくつか該当するケースは多いと思います。
発達障害は以前と比較して実人員が増えているのか、診断基準が明確になってきて該当する人が多くなっているのか、はっきりとわからないところではないでしょうか。
発達支援の現場では通所を希望される方は、定員をオーバーする感じになっています。それは少しでも早く、「我が子にとってプラスになることを生活に取り入れたい」という親の思いがあってのことだと感じています。子育ては本来、母親が一人でするものではなく様々な年齢・立場の人々によって成り立つ営みだと考えています。なので親も子も疲れ切ってしまうことなく、幼少期から色んな人に可愛がってもらって、できるだけ楽しい時間を増やしていってほしいと思っています。
コメント