目次
1歳から3歳までの「ことばの発達」には個人差があります
表出性言語の発達
- 乳児期喃語(babbling)の発達
乳児時期早期から始まる「あーあー」「うーうー」といった発声のことを喃語といいます。生後7カ月頃から大人の会話から言語を選択しはじめると考えられています。 - 反復喃語の発達
「わんわん」「ママ」「ジュージュー」などの音声の反復をいいます。 - 有意語の発達
「ママ」「パパ」「わんわん」「にゅうにゅう」「ちゃった」など、生後11カ月頃から音と意味が一致するようになってきます。 - 助詞の使用
1歳6カ月以降になると「〜だね」「〜よ」などの終助詞を使うようになります。2歳を過ぎると「〜ね」「〜よ」の終助詞以外に「〇〇ちゃんが〜だよ」の「が」を使い出します。3歳過ぎると「〇〇ちゃんと▲▲ちゃんで」のように接続詞を使い出します。 - 説明する能力
3歳になると「〇〇ちゃんが、たたいた」などの状況説明ができるようになります。4歳頃からは絵本のストーリーの説明などもできるようになります。
受容性言語:言語理解
- 乳児期:7カ月頃には話しことばの言語を捉えられるようになります。
- 9カ月頃:急速に言語が分節化して聞き取れるようになります。
- 幼児期前半:かなりの名詞を指さし可能となり、発語がなくても「わんわん、どれ?」という問いに指さしできれば、言語理解には問題ない可能性が高い。2歳後半には2語文、3語文などの指示に従うことができるようになります。
- 幼児期後半:3歳になると色の理解や物の性質、形の名称、大小・長短などの対立概念がわかるようになります。4歳頃には数の概念がわかり、言語機能の土台を獲得していきます。
ことばの遅れとその原因
難聴
早期診断が大切で、家族歴、NICU入院歴や抗菌薬使用状況などの要因の有無、呼名や音への方位反応などを確認する必要性があります。
知的能力障害
ことば以外の面でも日常生活習慣、身辺自立などを含めた全般的な発達に遅れがあります。
自閉スペクトラム症
社会的コミュニケーションの障害、限定した興味と反復行動、の2つの軸を特徴とします。早期発見・早期介入することによって二次障害を減らすことが可能であるため、そのままにせず専門外来や療育センターなどにつなげることが大切です。
コミュニケーション症
言語理解は比較的良好だが発語の遅れが認められるため、養育者が不安を感じることも多い。後に知的能力や認知的能力の偏りが関連していることもあるため、定期的なフォローが必要です。
環境性言語遅滞
母親の抑うつや、テレビやビデオ、携帯・タブレットなどの使用が多過ぎると言語発達に影響を与えてしまいます。
会話音声症
以前は「吃音(きつおん)」といわれていた症状です。子音の構音は4〜7歳までに完成するといわれており、4歳前後に構音障害が目立つ場合は、専門機関の受診を考慮します。
保健師
次回は「ことばの遅れ」の所見と検査、支援の方向性についてまとめていきたいと思います。
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