知覚の世界を広げる支援について
感覚と運動の高次化発達ステージでは、Ⅱ層目の段階を「知覚の世界」と呼んでいます
Ⅱ層は視知覚や聴知覚が育ち、見分けたり、聞き分ける識別的な外界の把握に近づいていきます
その結果
- 外界からの情報の多くを視覚や聴覚を通して把握できるようになること
- 運動表現も、視覚や聴覚に同調したり、調節しやすくなることが特徴
まだ外界把握のレベルであり、見てわかることは増えますが、見えないこと(間接的、象徴的なレベルでの理解は未獲得または芽生えの段階)です
聴覚についても豊かな言葉の世界に入る前段階で、音や音楽を聞き取り、そこに運動を合わせるなど、聴覚的な気づきが明確になる段階です
パターン知覚の水準
生活や学習場面での理解の幅はまだ狭く、柔軟性に乏しい段階です
箱から玩具を出して遊ぶといったことは成立しますが、自由に遊ぶことがパターン知覚水準では難しいことが多く、自由遊びに必要となる手段の活用やイメージ力は、まだ発揮されにくいことが多い
* 感覚と運動の繋がりを調整する:パターン化への配慮をしつつ揺らしていく
* 視覚や聴覚の活用がすすむ:知覚的な教材を活用
* 弁別・マッチングや記憶が育つ:場面やかかわりの整理、構造化
* 空間における自己の位置が定まる:人に応じる楽しさを導く
* 要求や拒否が明確化する:伝達手段を得るための土台を作る
* パターン的な模倣が芽生える
まだまだパターンが変更されると混乱することがあります
発達支援が必要な子どもたちの場合は、今どの段階にあるのかをアセスメントして関わる必要性があります。
もっと感覚や運動レベルで刺激を求めている場合もあります。初期感覚に導かれて段々と外界と繋がっていくことができれば、「はじまり」と「おわり」というものが理解できるようになってきます。この始点と終点の成立と物の操作が広がっていくと、視覚や聴覚でパターンを認識する基礎が育ってくると考えられます。
自己と他者の分化が進んで、相手に合わせ過ごせるようになると、模倣の育ちが見られます。
なので手遊びなどを通して、楽しく模倣し他者と関わることができると発達は一層促進されます。
池畑恵美子「感覚と運動の高次化理論からみた発達支援の展開ー子どもを見る眼・発達を整理する視点」2020.学苑社.
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